2022年4月3日日曜日

新卒一括採用の意義

 4月です。慣れないスーツを着た初々しい新社会人を街でよく見かける時期だと思うんですが、こちとらリモートワークで篭りっきりで新社会人なんて誰一人見ていません。

さて、去年経団連から発表があったとおり、(経団連加盟企業の)新卒一括採用が廃止されました。一括採用は世間では批判されることもありますし、事実今回廃止されたのはデメリットが多いということなのでしょうが、逆に言えば今まではメリットが多かったから行われていたということで。

是非は一旦置いておいて、今回は「新卒一括採用のメリット」をまとめてみました。賛同も批判も事情を知ってから。

採用業務の手間

採用業務を行ったことのある方ならわかると思いますが、採用業務を通年行うよりも一時期に集中的に行ったほうが同じ人数を見るにしても合理的なんですよね。

例えば、定員4人のところに5人応募があった場合、通年採用している場合は先着順にならざるを得なくて5人目が一番優秀だった場合でも泣く泣くお祈り…というか4人採用した時点で募集を締め切るので優秀な5人目に会うことすらないんですが、一括採用の場合は同時期に募集・応募があるので5人のスキルを見比べて吟味できます。

また、採用業務は面接にも時間がかかります。そんな場合には一人ひとりやるよりも集団面接を行ったほうが効率的です。

個人的には、集団面接は企業側の「選んでやる」的な姿勢が透けて見えるのであまり好きではないんですが、好みや良し悪しはともかくとして集団面接が企業にとって効率的であることは事実でしょう。

応募者にとっては待ち時間がなくなるメリットもあれば、露骨に他人と比べられてしまうデメリット(人によってはメリット)もあるので難しいところですが。

教育の手間

入社後には戦力育成のための教育が必要ですが、これも通年行うよりは限られた期間にまとめて行ったほうが効率的です。

新入社員を一箇所に集めてまとめて教育したほうが、通年で必要となるたびに行うよりも効率がいいのは間違いないでしょう。一箇所に集めずに1人ずつ教育した場合でも、前の人を教育して要領を覚えているうちに次の人も教育したほうがいいでしょう。

部署を超えた横のつながりができる

一括採用で入った人たちは、所属部署は違っても「同期」というつながりができます。同じ部屋で研修を受けたとか、研修期間に一緒に昼食を食べに行ったといった記憶や経験を共有できればそのつながりはさらに強いものになるでしょう。

そして、数年・十数年あるいは数十年後に彼らが上の役職についたとき、部署を超えたつながりがあるというのはコミュニケーションを取る上でとても大きなメリットです。

ドキュメントを作る習慣ができる

あまり人の動きのない部署だと、業務のノウハウが文書化されずに「だいたいこんな感じ」と匠の技で運用されている場合もあると思います。あるいは業務が属人化してしまって、その人しかわからない内容とかもあるかもしれません。あなたの周りでもそんな業務ありませんか?

定期的に新入社員が来ることで、新人が来ることを前提とした運用が嫌でも行われるようになります。つまり何も知らない人が読んでもわかるような業務マニュアルの整備です。

人事とか会社全体とかではなく、現場の視点からいうとこれが一番のメリットじゃないかと思っています。もちろん常日頃から文書化する習慣を部署全体でつけておくべきなんでしょうが、どうしても「今いそがしいから後でやる」となりがち。4月に新しい人が入ってくるということがわかっていれば、締め切り効果のようなものが発揮されるんじゃないでしょうか。


というわけで、今回はあえて時代の流れに逆らった記事を書いてみました。なんであれ健全な方向に進んでほしいです。

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