規模の大小を問わず、ほとんどの組織には何らかの制度があると思います。
制度を作った人は、がんばって組織や構成員(あなたのこと!)のことを考えているはずです。
でも、その制度に対して「あれ?」と思うことも少なくありません。
そして、実際に制度を運用していく立場になると、なかなかうまくいかないことが多いのも事実です。
これまで失敗から学んだことをつらつらと書きなぐってみます。
制度運用について悩んでいる方はちょっと見てみてください。
制度あるある
みなさんの組織(会社や学校等)にある制度を思い出してみてください。いろいろユニークな制度があることでしょう。有名なところでは、就業時間の20%を業務外のことに割り当てられる「20%ルール」なんかを導入している会社も少なくないかも知れません。
ところで、こんなことはありませんか?
- この制度ってまだ有効なの?
- とある制度を使おうとして申請したけど、「あなたは使えない」と言われた
- そもそも組織内にどんな制度があるのかわからない
- どんな制度があるかは口伝でしか伝承されていない
- しかも人によって言ってることが微妙に違う
ドキュメント化の大切さ
上で書いたことは、全てドキュメント化すれば解決します。
ドキュメント化すべき項目はこんなかんじ。
また、どんな制度があるかすぐにわかるような制度一覧のドキュメントも作ってください。
廃止した制度も一覧から削除せず、廃止されたことがわかるように打ち消し線等で残しておいてください。廃止理由は個別ドキュメント内に記載します。
- 制度の名前
- どうでもいいと思うかもしれませんが、意外と重要です。採用ページに載せることがあるかもしれません。
- 正式な名前が決まっていないと人によって呼称が異なり、同じ制度に複数の名前がついて混乱します。
- 奇をてらった名前にする必要はありません。変にキラキラな名前にするより、声に出して恥ずかしくない名前にしましょう。
- 目的
- 何のためにこの制度を作りましたか?
- どんな問題を解決するために作りましたか?
- この目的は一番大事な項目です。運用していくと「この場合はこの制度を使えるの?」といった判断に困る場面は必ず出てきます。そのときに制度の目的と照らし合わせて「その用途は制度の目的に沿っていないから使えないね」といった判断ができます。
- また、「制度をこう変えたいんだけど?」という場面でも、目的に沿っているかどうかを判断基準として第三者が判断できます。
- 詳細
- 制度の詳細を書きましょう。
- 他にも、予算や申請方法、決裁者(個人名ではなく役職名で!)等もここに記載します。
- 対象者
- 正社員のみ?アルバイトや派遣の方は?
- 勤続何ヶ月以上?
- 役員は対象?
- 開始日
- その制度はいつから適用されますか?
- 終了条件(あれば)
- 「本制度は試験導入のため、○年○月○日まで有効とする」
- 「この目的が達成できたら本制度は終了とする」
- 「悪用する者が目立つ場合、本制度は廃止とする」
- 終了日・終了理由
- すでに廃止した制度の場合は、終了日と理由も書きます。まだ有効と勘違いされないように必要です。
- 廃止した制度もドキュメントからは削除せず、残しておいてください。
- 新しい制度を提案したい人が「過去に似たような制度はなかったか」「似たような制度はなぜ廃止されたのか」といったことを確認するために必要です。
- また、一度廃止した制度でも、廃止理由がなくなったり改善方法が見つかったりして状況が変わり、「もう一度やってみよう」という方向に動くかもしれません。
- 変更履歴
- いつ変更した?(When)
- どこを変更した?(Where)
- どのように変更した?(What)
- なぜ変更した?(How)
- Markdown形式でバージョン管理して、概要はCHANGELOGに書くのがおすすめ。オンプレでGitLabとかを使うと非エンジニアでも参照しやすいし、制度の変更をPullRequestで提案できます。
そしてもう一度書きますが、一番重要なのは目的です。これは必ず書いてください。
「この目的を達成するにはもっといい方法があるので、この制度を廃止して別のものを提案しよう」といった指標にもなります。
「この目的を達成するにはもっといい方法があるので、この制度を廃止して別のものを提案しよう」といった指標にもなります。
廃止した制度も一覧から削除せず、廃止されたことがわかるように
そして大事なこと
制度をドキュメント化した後、運用する上で大事なことは- 制度を運用するんだという強い意思と覚悟を持つこと
- 作って満足ではなくしっかりと続け、定期的に見直すこと
- 制度をしっかりと周知すること
- 提案者がいなくても運用されるように徐々に手を放していくこと
提案者がいなくても「それをやりたいならこの制度が使えるんじゃない?」という言葉がでてきたら理想です。
また、最初のうちは提案者がしっかりと管理・運用しますが、少しずつ提案者以外で運用や改善が進むよう、意図的に介入度合いを減らしていきましょう。
そのために最も必要なのは目的の明確化です。3度目です。
制度を提案するときは
最後に、新しい制度を提案する場合に意識することをいくつか。制度の目的を明確にする
4度目です。何のためにその制度を提案するのでしょうか?目的を達成するためにもっといい方法はないでしょうか?
このことを意識しないと、この制度があったらうれしいから提案するというだけになってしまいます。
特定の人だけが恩恵を受ける制度には注意
例えばエンジニアがエンジニア向けの制度を提案するのはある程度仕方ありません。しかし、例えば正社員しか利用できない制度に関しては「なんとなく」ではない理由も必要です(派遣社員に関しては、派遣元が経費の負担に合意するなら利用可…とか)
他にも無意識にやってしまいがちなことは、本社の従業員しか恩恵を受けられない制度を提案してしまうこと。
例えば週に一度、社長と食事をする制度を作ったとして、社長が本社にしか顔を出さなければ支社の従業員は実質的に恩恵を受けられません。
このときの支社の温度感が本社の人間には気づかないものです。こういうことが繰り返されると「本社の人間ばっかり優遇しやがって」という不満にもつながります。
「不満に思うくらいなら自分たちも何か提案したら?」という人は、あなたのような提案できる人間はごく一部だということを認識してください。
ほとんどの人は「こういう制度があったらいいな」と思っても実際に行動に移すことはありません。だからこそ、行動に移せる人は全体のことを考えて提案すべきです。
まとめ
- 制度はドキュメント化しましょう。
- 制度の目的を明確にしましょう。
- 提案者がいなくても制度が運用できるように、徐々に提案者の介入を減らしましょう。
- 制度を定期的に見直しましょう。
- 制度をしっかりと周知しましょう。
- 必要以上に特定の人だけが恩恵を受ける制度になっていないか注意しましょう。
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