ペインクリニックではありません。別に体調が悪いわけではありません。ペンですペン。
かなり前に就職祝いで万年筆をもらいました。パーカーのソネット。万年筆ファンなら誰でも知っている、どこに出しても恥ずかしくない定番中の定番です。
・・・と偉そうなことを言っておきながら万年筆には全然詳しくないのでモデルまではわからないのですが、すでに廃盤になってしまったマーブル模様のタイプです。キャップにちょっとヒビが入ってしまったので補強のために透明なテープを巻いています。
コンピューター関連の仕事をしていて毎日のようにキーボードを叩いている現在でも「紙に書く」という習慣をつけさせてくれた大事な相棒なんですが、数ヶ月前から時々インクの出が悪く、字がかすれることがありました。
修理に出すにも当時の国内代理店を検索しても見当たらないし、そもそももう廃盤だしどうしたもんかなぁと思っていると、ペンクリニックというイベントが全国でちょいちょい開催されているという情報を入手しました。何でも、ペンドクターというかっこいい肩書を持った人が無料で万年筆をメンテしてくれるとか。何それ素敵やん。
関西ではいつあるんだろうと調べてみると、9月3日に大阪難波であるとのこと。ペンクリニックについて調べたのが8月30日。こんな直近であるとはまさに神の思し召し、というわけでさっそく行ってみました。
ペンクリニックの会場はPellePenna(ペレペンナ)なんばCITY店。行くまでにそこそこ迷いましたが、方向音痴なので想定内。
ペンドクターは、業界の第一人者の仲谷佳登氏。恥ずかしながら存じ上げなかったのですが、万年筆ファンの間では超有名人だそうです。
調子の悪くなった万年筆を取り出すと、刻印を見るまでもなく即座に「ああソネットね」と先制のジャブ。いや別にジャブのつもりではないんでしょうけど、というか誰も戦ってないんですけど、一瞥しただけで、しかも廃盤のものを言い当てられたのはさすがです。パーカーのペンはクリップのデザインに特徴があるので「パーカーだな」くらいはちょっと慣れれば誰にでもわかると思いますが、じっくり見るまでもなくソネットまでわかるものなんですね。車マニアが車種を一目で見分けられるようなものなんでしょうか。
「文字がかすれることがある」と症状を説明すると、ペン先をササッと洗浄してからルーペでペン先をじーっと見て、ペン先のスリットをシャーッとやって、ペンポイント(筆記するときに紙と接触する丸い部分)をシュッシュッとやって・・・とにかく手際がいい。なんか集中していたので気をそらしたら申し訳ないと思って、話しかけるのは控えていました。写真も撮っていないので作業の様子は載せられません。
数分後、「これでどうでしょう?」と言われて万年筆が戻ってきたんですが、素人目には何が変わったのか全くわかりません。半信半疑で試し書きしてみると、今までの不調は何だったんだと言わんばかりにインクがスラスラ出る!いやホントにプロの技はすごいと感動しました。
生まれ変わった相棒の書き味はすばらしい。昔のように筆圧を一切かけなくてもスラスラと書けるようになりました。仲谷さんありがとうございました。そしてこれからもよろしく相棒。
<2023年2月19日更新>
正式名称は「ソネット パターンラック」というらしいです。
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