2021年8月15日日曜日

エンジニアが大量に退職するとき

 なんとなく書きたくなったので、ここに書き散らしておきます。エンジニアに限らない話かもしれませんが。

最初に言っておきますが、退職者が常に大量出ている(そしてそのために常に大量に新規募集をしている)ような職場の話ではありません。人が入っては数ヶ月で辞めるを繰り返している職場はなにか慢性的な問題を抱えていると思いますが、そのあたりの話はここではしません。

退職は必ずしも後ろ向きな理由だけではなく、さらなるステップアップのために退職することもあるので一概によくないことというつもりはありませんが、短期間に大量に退職者が出るということはステップアップ以外に何かしらの理由があると思うので対策を打ったほうがいいかもね、という話をします。

結論から言うと、会社の内部に理由があることもあれば外部に理由があることもあり、それ以外の理由のこともあります。「全部言えばどれか当たるに決まってるだろ何いってんだこのクソ雑魚無能手品オタク」と思うかもしれませんが、理由がいろいろあるということは理由を見誤らないようにしないといけないということでもあり、見誤るとさらなる退職者が出る可能性があります

それでは見ていきましょう。

理由その1: 統計的な偏り

危険度レベル: C

退職者自体はどんなホワイトな会社でも出るものですが、その理由は様々。そして退職者数も常に一定ではなく波があります。月平均の退職者が1人の会社でも、全く退職者が出ない月もあれば2人以上出るときもあるでしょう。

宇宙の始まりと言われるビッグバンも、エネルギーも何もないように見える真空のゆらぎの中、エネルギーが生まれてはすぐに消えるという波が気が遠くなるような長い時間繰り返され、あるとき想像もできないほど高密度のエネルギーの塊が生まれたとされています。

急に関係あるようなないようなスケールのでかい話をしましたが、要するに「特別な理由はないけどたまたま退職者が多いときがあった」という場合はそこまで深刻ではありません。そのうち平均値に収束するでしょう。

ただし、それが本当にただの波であればの話です。他に理由があるのに「これはただの波だから気にする必要はない」と放置してしまうと、そのうち津波になります。

理由その2: 転職ブーム

危険度レベル: B-C

ウェブ業界では定期的に転職ブームが起きるようです。現職に特に不満はないけどいいところがあれば行きたいといったノリで、Twitterでスキルを羅列して「誰かもらってください」的にツイートしてみたり、自分の市場価値を知る目的で転職ドラフト等に登録したり。

「もっといいところがあれば行きたい」「自分の市場価値を知りたい」ということ自体は労働者であればごく自然な心理なので、この考え自体が危険なわけではありません。ワイも現状特に不満はないけど年1500万円くらいくれるところがあれば行くかもしれないし。おっとやけにリアルな数字を出してしまいました。

ただ、社内で転職に成功した人(高待遇で転職できた、条件のいい場所に転職できた等)の話を聞くと、「ちょっと自分もやってみようかな」という人が増えるかもしれないのでそこはちょっと気をつけたほうがいいかもしれません。こういう転職に成功する人って大抵優秀な人なので。

まあ、何をどう気をつけるんだよって話ですが・・・

理由その3: 他業界のバブル

危険度レベル: B

転職ブームとも関連する話です。

10年くらい前にソーシャルゲームのバブルがありましたね。今のソシャゲ業界の勢力図は知りませんが、かつてはガチャ等でかなりの利益を上げた企業が資金力にものを言わせて開発者を高給で採用するといったことがありました。

ガチャシステムの是非は置いておくとして、営業活動で得た利益を人材登用に回すこと自体は企業として当たり前のことなので何ら問題ありません。問題はないのですが、バブリーな業界の儲かっている様を見せられると「ええなぁ・・・ワイも行こっかなぁ・・・」と思う人が出てきてもおかしくありません。

バブルが終焉を迎えれば流出も自然と落ち着くでしょうが、いつ終焉を迎えるのかわからないのが悩みどころです。数年単位でかかるかもしれませんし、当局の規制等であっけなく終わるかもしれません。また、バブルが終わったとしても他の業界の存在を知った人が離れていくかもしれません。

そういや暗号通貨バブルで取扱所もウハウハなんだろうなぁ。ええなぁ・・・ワイも行こっかなぁ・・・

理由その4: 優秀な人・エース級の人が辞めた

危険度レベル: A-B

社内の優秀な人・影響力のある人が辞めたのをきっかけに、雪崩のように他の人も続く場合があります。これにはいくつかパターンがあって、

  1. もともと社内に不満要因があってモヤモヤしている人が多かったところに、優秀な人が辞めたのがきっかけで他の人も続いた
  2. その人しかできない業務が大量にあり、「その人が辞めたらもう業務が回らない」と判断して他の人も続いた
  3. 「その人と一緒に仕事をしたいから入った。その人が抜けるなら自分も抜ける」という人が多かった

こんなかんじでしょうか。

1の場合は社内に理由があって、優秀な人が退職したのはきっかけの1つに過ぎません。その人が退職しなくてもいずれ大量退職が起きる可能性は高いでしょう。

2は社内にノウハウが蓄積されていないというよりは、そもそもその業務に関するスキルを持った人がその人しかいないような場合です。例えばバックエンド開発者は何人かいるけどウェブサーバーに関するスキルがある人が1人しかおらず、その人に任せっきりで他に覚えようとする人がいない・・・等。良くも悪くも「自分の仕事の範囲」を自分で定義している人が多い場合でしょうか。

3は、業界の有名人のようなカリスマ性のある人を雇っている場合や、会社説明会・採用面接等で従業員の人柄・能力に惹かれた場合などです。そんな場合はどうしようもないと思うかもしれませんが、会社側にもカリスマだけに頼ってきた責任はあるかもしれません。採用活動をカリスマに頼るのはある程度しかたないとしても(そのためにカリスマを雇う一面もあるでしょうから)、会社自体の魅力が伝わっていれば「カリスマが辞めた=大量退職」とはならないでしょう。

また、その人が辞めた理由も気になるところです。ステップアップのためにということであればまだいいのですが、社内に理由がある場合はそれがまた第二次大量退職のきっかけになるかもしれません。

理由その5: 会社の方針が急に変わった

危険度レベル: A

社長が何かに感化されたり、大きな会社の場合は経営層のお家騒動とかである日突然会社の方針が変わるというのはわかりやすい大量退職フラグです。

経営の根幹に関わるような方針だけでなく、会社の特徴的な制度がいくつか廃止されるだけでもフラグになりえます。特にベンチャーやスタートアップなどではユニークな社風や制度に惹かれて入社する人もめずらしくないため、段々と「普通の会社」になっていく様子にがっかりして退職してしまうこともあります。

もちろん、会社の成長や経費削減等のために多少の退職者が出ることを覚悟の上で苦渋の決断をする場合もあるでしょうが、経営層と従業員で価値観が異なるために「こんなに退職者が出るはずじゃなかった」という状態になることも。これが将来慢性的な問題になる可能性もあり、小さな会社ではその変更のために半数近くが辞めてしまう場合もあります。

終わりに

最初は適当に書き散らす予定だったんですが、思ったより長くなってしまいました。この5つはパッと思いついたものなので、おそらく他にも理由はあるでしょう。

最初に書いたとおり、大量退職の理由を見誤るとブレーキがかかりません。「仕方ない」の一言で済む場合と済まない場合があるので、見極めは慎重に。

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